塞翁が傘
◆塞翁が傘
第一章
雨が降るのに 傘を持ってる
心の片隅で 期待している
誰かの優しさに 触れられることを
でもこれでは誰も 傘をさしかけてくれない
見えない壁を作ってしまった 自分自身で
傘を隠そうか 傘は隠せない
この矛盾した思いが 胸の内で渦巻く
人の温もりが欲しいのに 自分を守る殻を破れない
傘を捨てよう 傘は置き去り
決断の瞬間 解放感と不安が 心を二分する
雨が止んだね 傘を探そう
後悔の念が 静かに湧き上がる
失ってから気づく 大切なものの存在
空を見上げれば 晴れ間が皮肉に笑う
第二章
私鉄 終着駅 下り最終
人生の終わりを思わせる 寂しい風景
駅裏の袋小路 行き詰まりに箱
逃げ場のない感情を ここに置いていく
誰もが不幸捨てに来る
共通の秘密を持つ 見知らぬ仲間たち
箱には捨て口 ポンと投げ入れる
軽やかな仕草の裏に 重い決意を隠して
第三章
旅館の名は いらもづ荘
不思議な響きに 心惹かれる
IRMODUS ローマ字表記
謎めいた符号に 答えを探す自分
外交人向け? 朝食は付かない
異邦人のような 自分自身への問いかけ
逆から読めとばかりに
人生の裏側に 真実があるのではと 思い始める
第四章
朝食は加福 早朝から営業
希望の光が 少しずつ差し込む
初代は禍福亭と名付けて
運命の皮肉を 受け入れる覚悟
今は二代目 験が悪いと改名
迷信に縛られない 新たな一歩
不幸を捨てた人々集まる
同じ痛みを持つ者同士 静かに共鳴する
第五章
雨が降らないのに傘を持ってる
過去の痛みが まだ心に残っている
これじゃ誰かに傘をさしかえてしまう
傷ついた自分が 今度は誰かを傷つけてしまう恐怖
傘を隠そうか 傘は隠せない
心の傷は 簡単には消せないことを知る
傘を捨てよう 傘は置き去り
過去を手放す決意が 胸に芽生える
雨が降り始めたね 傘を探そう
人生の循環を 静かに受け入れる心
終章
私鉄 上り始発駅
新たな旅立ちの 予感に胸が高鳴る
業者が回収した不幸を持ち帰る
他者の痛みを 自分のものとして感じる共感
私鉄 上り終着駅へと
目的地は定まらずとも 前に進む勇気
「幸福の種」として
傷こそが 明日への糧になると 静かに悟る